
バルタザールどこへ行く
少女マリーと聖なるロバが辿る無慈悲な運命。
巨匠ロベール・ブレッソンによる、映画史に輝く至高の傑作。
巨匠ロベール・ブレッソンが長年映画化を望んだ、聖なるロバ“バルタザール”をめぐる現代の寓話。ドストエフスキーの長編小説『白痴』の挿話から着想を受け、一匹のロバと、少女マリーとの数奇な運命を描きだす。純粋さから悪の道へと堕ちていく少女マリーを演じるのは、当時17歳のアンヌ・ヴィアゼムスキー。その後『中国女』(1967)などゴダール作品に数々出演することになる彼女にとって、これが初の映画出演作となった。ブレッソンの意を汲み、完璧に抑制され尽くした映像は、『夜と霧』(1955)『ロシュフォールの恋人たち』(1967)等で知られる名撮影監督ギスラン・クロケの手によるもの。緊張感溢れる画面が、この崇高な悲劇を美しくも冷酷に映し出す。ヴェネチア国際映画祭審査員特別表彰をはじめ数々の映画賞を受賞し、いまも多くの映画人を魅了しつづける、映画史に残る最高傑作。
ものがたり
小さな農村で、農園主のジャックと幼なじみのマリーは、生まれたばかりのロバに「バルタザール」と名づけ可愛がる。だが年月が経ち、バルタザールは別の飼い主のもとへ。やがて逃げ出したバルタザールは、美しく成長したマリーと再会し、まるで愛し合う恋人たちのように慰め合う。だが運命は、バルタザールにもマリーにもあまりも過酷な試練を与えていく。マリーの両親は誇り高さゆえに没落し、マリーもまた不良少年ジェラールに拐かされ悪徳の道に落ちていく。バルタザールもまたマリーのもとを引き離され、次々と人手に渡っていく…。
監督・脚本|ロベール・ブレッソン
撮影|ギラン・クロケ
美術|ピエール・シャルボニエ
音楽|シューベルト、ジャン・ヴィーネル
編集|レーモン・ラミー
製作代表|マグ・ボダール(パルク・フィルム)
出演|アンヌ・ヴィアゼムスキー、フランソワ・ラファルジュ、
フィリップ・アスラン、ナタリー・ジョワイヨー、
ヴァルター・グリーン、ジャン=クロード・ギルベール、
ピエール・クロソフスキー、ロバのバルタザール
4Kリマスター カラーグレーディング|クリスティアン・ボスケ
原題:AU HASARD BALTHAZAR
1966年|フランス・スウェーデン|96分|モノクロ|スタンダード
©1966 Argos Films – Parc Films – Athos Films – Svensk Filmindustri